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12月の徳目「忍辱持久(にんにくじきゅう) 」

(この記事は、正光寺保育園各園の園だよりに掲載している住職からのお便り内容を転載しています)

「忍辱(にんにく)」という仏教の言葉があります。これは、我慢すること、耐えることをあらわしたものです。

私たちは、他者との関わりの中で怒りや憎しみ、妬み、僻みといった負の感情を抱くことがあります。そうした感情を抑え、常に心静かな状態を保ち続けることを「忍辱持久(にんにくじきゅう)」といいます。

 日ごろ、私も「忍辱持久」を試みていますが、これはなかなか難しいものです。まず、負の感情が昂った瞬間に「忍辱」という言葉は、頭からすっかり消えています。なんとか我慢できたとしても、我慢ばかりしていると今度は心の不調をきたします。なんとも難しいものです……が、他者との関わりを避けられない人間社会では「忍辱持久」は十分に必要なことでしょう。

では忍辱持久を実現させるためにはどうしたらよいか――それは、“程よく我慢する”ことであると考えます。そのためには、自身の中に沸き起こった負の感情や、我慢できない自分の有り様を認めてあげること、つまり、“我慢することが困難である自分”を認めることが大切です。

自分の感情に寄り添うことができなければ、同じように我慢が困難な相手の感情に寄り添うこともできません。自分を認め、相手を認めたときにはじめて、どうすれば心穏やかに我慢できるか、負の感情に折り合いをつけるためにどうすればよいか考えることができるでしょう。

 正光寺保育園では、負の感情を露わにした子どもにじっくりと寄り添うことを心がけています。その感情に共感し、そのときなぜ怒りや憎しみなどの感情が生まれたのか紐解いてゆきます。子どもたちと共に考え、時にはお手本となり、子どもたちが自分を認められるようになることで、負の感情を抑え、心静かな状態ーー忍辱持久を築くことができるのです。

 このような保育が周りの人を思いやり、将来起こるかもしれない理不尽なことにも心静かに耐えられるーー忍辱持久の助けとなるに違いありません。