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2月の徳目「禅定静寂(ぜんじょうせいじゃく) 」

(この記事は、正光寺保育園各園の園だよりに掲載している住職からのお便り内容を転載しています)

 今月の徳目は「禅定静寂(ぜんじょうせいじゃく)」です。

「禅定」は正しい智慧を獲得するために心を集中させることで、心を集中させて得られた状態を「静寂(寂静)」といった言葉で表しています。

 今も昔も私たちは忙しない日々を送っていますが、近年はとくに忙しさの質や中身が「情報処理活動」に傾いているように感じます。

 情報処理といっても、自分にとって必要な情報を見極めるだけではなく、その真偽まで確かめなければなりません。さらには自分を貶める情報の受け止め方や、他者を傷つけないような伝え方にも気を配らなければならない時代です。

 これらに限らず、総じて日々の活動に忙殺されている私たちは、自分が大切にしようと思っていたことは何か、人間が本来大切にしなければならないことは何か、といった本質的なことに想いを馳せる余裕がなくなってしまいました。

 このような現代を生きる私たちは、まさに「禅定静寂」を見失っていると言えるでしょう。心を集中させ、静かなる境地で本質的なことに考えを巡らせるといった、私たちがあるべき状態になることが難しくなっているのです。

 この「禅定静寂」は、年齢や環境に応じてさまざまな取り組み方があります。

 大人のみなさんは、例えば座禅を組んだり瞑想したりして過ごすといいでしょう。機会があれば是非、お寺の本堂で心静かにご自身のこと、我が子のこと、子育てへの想いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

 では、子どもたちはどうするのがよいか。最も価値のある活動のひとつはあらゆる活動に「集中する」ことです。何かの遊びに集中して取り組んでいる状態は、その遊びだけしか目に入らない「静寂」の世界です。興味を持ったことにどんどん集中して取り組んでいくことがとても大切です。そのような興味と集中が、やがて大人がおこなう「禅定静寂」の取り組みに繋がっていくのです。

 静寂を得られたとして世の中に溢れる情報をどのように取り扱うかというのはとても難しいことです。なぜなら、情報そのものは善でも悪でもないからです。その情報が自分にとってどういったものかを考え取捨選択し、さらにはそれを参考までに留め、最終的には自分で考え行動していくことが重要です。

 私たちは、子どもたちがあらゆる活動に集中することができる環境を整えることはもちろん、自ら考え行動していくことができるよう配慮して、「禅定静寂」の考えを拠り所に保育活動を実践しています。